【9月定例会】ムーアの法則と情報化社会の進展 ~シンギュラリティーは2045年に起きるのか?~

2020年9月度の定例会にて、梶本会員により「ムーアの法則と情報化社会の進展 ~シンギュラリティーは2045年に起きるのか?~」と題して、発表頂きました。

コンピュータの性能向上

私たちの生活にはICT技術があふれています。パソコンもスマホも小さくなり、年々性能が向上しています。私たちはコンピュータの性能向上は当たり前のように考えていますが、それはいつまで続くと思いますか? というテーマで発表がスタートしました。

ムーアの法則とは

Intelの創業者ゴードン・ムーア氏は、1965年に「半導体の集積率は18か月で2倍になる」と発表しました。この発表はムーアの法則として現実となり、1970年以降、Intelを含めた半導体メーカーにて様々な開発が実施され、半導体の集積率は継続的に向上してきました。半導体の集積率が向上すると、単に大きさが半分になるだけでなく、回路の性能は倍以上になるそうです。それが18か月サイクルで繰り返され、指数関数的に向上してきたことになります。

これが、コンピュータの性能向上を支えていた、と言うことですが、現在では家電量販店で売っている普通のパソコンでもディープラーニング(DL)の学習が出来ることの根拠だったと知り、とても納得しました。クライアントPCでディープラーニングを行うには、相当気合いが必要ですが。。。

ゴードン・E・ムーア氏(Intel社ホームページより)

https://www.intel.com/content/www/us/en/silicon-innovations/moores-law-technology.html

2045年シンギュラリティーは訪れるのか。

その後議論は、ムーアの法則は、現在も続いているのでしょうか?という点に展開しました。答えはNoです。急激な上昇を続けていたCPUのクロック数は2005年頃を境に殆ど上昇が見られていません。これは、半導体回路が原子レベル(ナノメータ)まで短縮され、限界に達したためだそうです。Intelも現在は集積率を上げる努力は継続しているものの、マルチコアなど処理の並列化によって性能向上を図っているわけです。

コンピュータ性能は進化し続けるもの、と思われがちですが、シンギュラリティーに向けハードウエアスペックとしては厳しくなっている現実があるようです。

令和元年版情報通信白書P31より抜粋

今後のコンピュータ性能の向上の期待

「マルチコアなど処理の並列化が進んでいる」との説明がありましたが、並列処理をするにも、それだけメモリが必要となるそうです。最近話題のニューロコンピュータを使用するにしても、十分なメモリが必要となります。今後のコンピュータスペックの向上にはメモリの性能向上も必要なのですが、メモリの進化スピードも緩やかになっているのが事実です。

しかし、現在新たなメモリの検討が進められており、まだまだ性能向上の可能性があるそうです。メモリが次のステップに進めば、コンピュータスペックとしてはシンギュラリティーを迎えられるかもしれない、と感じました。但し、ディープラーニングなどのソフトウエア面で課題はまだまだありそうですね。

文責:野網会員