【2025年4月定例会】過去と未来が今になる瞬間特集

2025年4月19日に、伊勢神宮をはじめベルサイユ、カーネギーホールなど世界で活躍されている日本舞踊アーティスト 月妃女(つきひめ)さまをお迎えして、AIと伝統芸能の融合をテーマにしたワークショップを開催しました。

講演1)2025年 AIビジネス研究会の展望

2025年度のAIビジネス研究会のスタートに際し、小泉代表より2019年からの研究会の活動を振り返りつつ、今年の展望を紹介しました。2025年はAIエージェント元年と呼ばれ、自律的に動作するAIエージェントにより加速的に働き方や日常生活が変わると想定されます。

AIビジネス研究会としても “未来の働き方”をテーマに経営、マーケティング、製造・環境、人的資本、教育の5つの分野でAIエージェントやDXに関する知識習得、アウトプットの機会提供によるスキル向上を推進する方針であることを説明しました。

講演2)日本舞踊の魅力と世界観

グローバルに活躍していらっしゃる月妃女さまより日本舞踊の世界に入ったきっかけや、日舞踊の魅力についてご講演いただきました。

第1部:日本舞踊の世界に入った理由と、表現したい世界観

幼少期には母親の影響で西洋の音楽や舞台を好んでいた月妃女さまですが、人間国宝の歌舞伎役者・坂東玉三郎さんの舞踊に触れることで、日本の美の奥深さに目覚めました。特に坂東玉三郎さんの女形が表現する「女性の中の女性」ともいえる日本女性の美しさには衝撃を受けたといいます。舞踊では言葉を使わず、動きのみで感情や物語を伝える点に魅力を感じ、それを創造する楽しさが大きな魅力だと語られました。

第2部:幻想的な舞踊劇「鷺娘」の特別披露

月妃女さまに特別版「鷺娘」を実際に披露していただきました。「鷺娘」は、日本舞踊の代表的な舞踊劇で、白鷺の精霊が娘に化身し舞う幻想的な物語を描いた作品です。所作の繊細さ、美しく儚い世界観が初めて日本舞踊を間近で見る参加者にとって強い印象を残し、その所作による表現美を肌で感じられるひと時となりました。

第3部:所作美を学ぶ – 女形の魅力を体験

月妃女さまから女形の所作を直接レクチャーしていただき、優雅な歩き方や手・顔の動きなど、舞台上で使われる基本的な動作を体験しました。実際に動作を試す中で、日常生活では味わえない非日常的な動きの難しさと美しさを深く感じることができました。

また、女形の所作は見た目の優雅さを追求するため、動作がゆっくりとなり、自然とは異なる体勢が求められることから、その身体的なハードさも実感できました。

演習1)続・鷺娘をプロデュースする

月妃女さまに披露していただいた「鷺姫」を参考に、生成AIを使用して鷺娘の続編を創造するワークショップを行いました。まずは日本舞踊や伝統芸能の価値を整理し、ストーリーのコンセプトを決定します。次に生成AIへ価値観やコンセプトを入力し、ストーリーやイメージ画像の作成を行いました。

ワークの最後には各チームが作成した作品を発表しました。転生物や他作品とのクロスオーバーなど多様でユニークな作品が発表され、大いに盛り上がりました。

40分ほどの短いワークでしたが、生成AIを活用することで考えた価値やコンセプトにマッチするストーリーや画像を簡単に作成することができ、クリエイティブな作業でも生成AIの活用が一層進むと感じる機会となりました。

最優秀賞作品 現代転生御伽噺「鷺娘 ― リターンズ ―」

講演3)誰にでもできる。~脳科学を生活に取り入れて起きる奇跡~

村松会員は、「脳科学を日々の生活に取り入れ、QOLを改善させること」をライフワークとされています。今回の講演ではその実践例として、お子さんの受験にまつわる体験を通じて具体的な取り組みと成果を発表されました。

お子さんは小学生4年生の頃から進学塾に通い始めましたが、6年生になっても模試での合格率は20%を少し越えるくらいだったそうです。そんな時、塾から前年度の塾生の合格実績が開示されたため、その内容を分析されたそうです。

分析したところ、合格率は心と因果関係があることに気づき、不合格になった心の状態(根本原因)としては以下の2つだと特定できました。また、お子さんにとっては2つ目の根本原因の対策が重要だとお考えになったそうです。

1.本心から合格を目指していない
2.想定外の事象が起きて動揺した

脳科学によると、不安な思考は脳の一部(左脳)が勝手(無意識)に発信しているとされており、左脳は不合格になってもいないのに「不合格になるぞ」と未来のことで不安を煽ってきます。

ただ不安は左脳が仮想的に作り上げている幻であり、起きてもいないことに不安になる必要はそもそもない。左脳はもともと、人が生存するために危険を予知して伝えてくれる。生きているという現状を維持することを重要視して、良かれと思ってやってくれているので、排除するのではなく、共存する対象だと村松会員は説明しました。

不安への対処法としては、まずは左脳めがけて「危険を予知してくれてありがとう」と心の中で声をかけて不安の支配から抜け出す(操縦席に戻る)。

抜け出した後には本心を選択し、自分の思い通りの行動が可能になるとのことでした。

お子さんにも図を使って説明して理解してもらい、半年間実践したところ見事に志望校に合格されたそうです。

参加者は、脳科学の視点から日常をポジティブに変えるヒントを得るとともに、意識の持ち方次第で未来を変える可能性について学ぶことができました。みなさんも明日から左脳に対して「ありがとう」と語りかけてみませんか。

文責:安樂会員 高田会員