2024年10月19日にかながわ労働プラザにて、ものづくりドットコム 桑田靖章様とミサワホーム株式会社 笹耕輔様をお迎えして、オープンイノベーションをテーマに定例会を開催しました。
講演1)明日から使える生成AI連続講座 第2回 ~顧客の真のニーズを探索しよう~
AIビジネス研究会の代表、小泉会長による明日から使える生成AI連続講座の2回目が行われました。参加者が業務で生成AIを効果的に活用する方法を学ぶとともに、クライアントからの質問に答えられるようになること、さらに生成AIの指導ができることを目標とした講座になっています。
生成AIの背景については、第3次と第4次AIブームの違いや、生成AIがなぜ急速に発展し、実用レベルに達したのかが解説されました。第3次AIブームは、推論の前に学習が必要で、大量の学習データが必要であったのに対し、第4次AIブームでは事前学習モデルを活用するため、プログラミングや数学といった特別なスキルが不要になったということです。
プロンプト作成のコツについても具体的な指導が行われ、各自生成AIに入力しながら確認しました。一番驚いたことは、生成AIは考えているわけではないということです。生成AIがやっていることは、入力された単語から次に来る単語や文章を確率・統計的に予測しているだけということを実感しました。
その後のグループ演習では「横浜のレトロな企業・施設を活性化する企画を考えよう!」をテーマに各グループが対象となる企業や施設を選び、チャレンジしたい課題や改善点、ターゲット顧客を設定し、生成AIの活用やデザイン思考のフレームワークを使ってアイデアを具体化していきました。
講演2)中小製造業のオープンイノベーションを考える ~ダントツのものづくりを支えるには、どんなコミュニティが有効化?~
外部講師である「ものづくりドットコム」の桑田靖章氏と「ミサワホーム」の笹耕輔氏が、中小企業の新事業立ち上げから製造、マーケティングに至るまで、専門家と気軽に相談できるオンラインおよびリアルコミュニティ構想についてのプレゼンテーションを行いました。
まず、桑田氏は日本の製造業が持続的に成長するための課題として、中小企業が直面する新規事業の困難な現状を指摘しました。中小企業は優れた技術力を持ちながらも、マーケティング力や人材の不足により、試作品をうまく活かせなかったり、新規事業の企画が停滞するケースが多いとされています。具体例としては、下請けの電子機器メーカーが試作品を作っても、市場に届けるためのチャネルや人材が不足していることや、地方の商工会議所が新事業や新商品の開発に必要な人材を地元中小企業が確保できていない問題を抱えていることが挙げられました。また、受託開発型のテック企業では、技術開発を進めたい一方で、新たな依頼を得るのが難しいという現状も説明されました。これらの課題に対し、オープンイノベーションやコミュニティ形成の必要性が強調されました。
続いて、笹氏からは具体的な解決策として、リアルな場での交流やコミュニティの活用が提案されました。たとえば、ミサワホームが大田区と事業契約した案件でのコミュニティ活動を通じて、顧客との関係を強化し、リアルなネットワーキングによって大田区と公民連携事業を進め、新たなビジネスチャンスを創出しようとする計画が紹介されました。また、桑田氏はオンラインプラットフォームの利点として、物理的な制約を超えた多様な交流や、知識やノウハウの迅速な共有が可能である点を強調しました。これにより、企業は自社の技術を活かしながら、新しい市場や顧客層への対応を加速させることが期待されています。
続いて、モデル会社「メタルワークス」を題材にしたグループ演習が行われました。参加者は、この会社が新規事業を進める上での課題や連携先(産学官)、バリューチェーン(人材、研究、生産、販路、財務)をリアルまたはデジタルでどのように解決していくかについて活発に議論し、最後に各グループの発表が行われました。
今回は非常に内容の濃い定例会となりました。あまりに楽しくて、時間が過ぎるのが早く、名残惜しい雰囲気の中、懇親会で桑田氏、笹氏と続きを語り合いました。次回の定例会は11月16日(土)であり、小泉会長による生成AI講座の3回目も行われますので、皆さまのご参加をお待ちしております。
文責:笠置会員