【2022年11月定例会】 リスキリング特集

2022年11月19日(土)14:00~17:00にAIビジネス研究会11月定例会をリモート開催しました。

講演1)内側から見たマイクロソフトのAIとDXへの取り組み

平鹿会員よりマイクロソフトにおけるAIやDXの取り組みについて紹介いただきました。マイクロソフト製品を利用するユーザ視点のDXについて紹介される記事は比較的よく目にします。しかし、マイクロソフト自身がDXをどのようにとらえているのか、またMS内のDXはどのようなものなのか知る機会は多くないと思われます。前者は公開情報などから知ることは可能かもしれませんが、後者はほぼ皆無と言って良く、それだけに興味深い講演でした。

特に印象に残った言葉はMicrosoft Ignite 2022のキーノートメッセージ「Do more with less」と、MS内におけるGrowth Mindsetという思想でした。Do more with lessという言葉から最先端のIT企業に、ものづくりにおける昔からの考え方である「ムダを無くす」という考えにもつながる思想があることと感じました。Growth Mindには人が持つ成長や学習への意欲を理解し活用しようとするMSの企業文化が感じられました。

講演2)メディアの現状とAI活用

松浦会員は専門誌や企業データのダイレクトマーケティング業務に長年従事されています。紙媒体からデジタルに移行する過程における業界の構造変化を目に当たりにしてきており、デジタル化が与える価値観の変化や社会変革、AIの活用についての考察を講演いただきました。

紙の出版物の販売額は1996年から減少し続けていますが、2014年頃から始まった電子出版の売上の効果で2018年頃から増加傾向にあるとのことです。電子出版市場の9割はコミックスであり、「鬼滅の刃」の爆発的ヒットから始まり映像化・映画化された作品も数多く生まれています。この傾向は今後も続くだろうとのことです。

出版業界は、①直接取引の増加による「中抜き」「リードタイムの短縮」、②物流課題(ドライバー不足、配送先増、コスト増)、③取次(問屋)の経営難、④垂直統合、⑤書店の出版社買収、⑥ネット促進、⑦他業種参入(「岳人」をモンベルが買収)、といった現状があるとのことです。

AIの活用例としては、①ICタグ付きの本による在庫データからAIによる販売予測(返品率改善)、②輪転機運転の熟練技術のAI活用、③決算短信サマリーのAIによる記載、④AIによる新聞記事の割付、などがあるということです。

また、デジタル化によりメディアは「所有」から「アクセス」、「見る・読む・聴く」から「参加する」「体験する」に変わってきているとのこと。さらに「SNS」における共感を起点としたモンスターヘッド(爆発的かつ局所短期的なヒット)が誕生する傾向があるが、ヘッドのみでボディが無い場合が多く、流されず立ち止まって考えることで情報の取捨選択が必要とのことでした。

講演3)文系向け新企画「ソーシャルサイエンス」のすすめ

小泉代表が主催しているソーシャルビジネス部会の紹介がありました。同会では社会科学の基本学習や統計手法の情報交換により、高度なデータ分析手法を学ぶことを目的としています。週1回、朝の時間帯で30分程度の活動とのことでした。

最後に3チームにわかれて3つのカテゴリ(統計/機械学習、Python/R、IoT)において学びたいことについて議論しました。

次回の定例会情報はhttps://aibizlabo.com/meetingに記載されています。みなさまの参加をお待ちしております。

文責:中嶋会員