【2022年5月定例会】両利きの経営特集

2022年5月21日(土)14:00~17:00にAIビジネス研究会5月定例会をリモート開催しました。

講演1)イノベーション創出に向けた支援の取り組み 〜関西発 社会実装を目指して〜

吉村会員より、大阪を中心とする関西地区のイノベーション創出支援事業についてご紹介いただきました。

大阪府は人口900万人、域内総生産が40.2兆円と全国有数の経済基盤を持つことに加えて、「未来社会の実験場」をコンセプトとする2025年大阪・関西万博を控える、日本で最も注目度の高い地域の1つです。

サントリー、日清食品、パナソニックなどに続く、新しいイノベーション企業を生み出すため、大阪府、大阪市、大阪商工会議所は専門チーム(実証事業推進チーム大阪:https://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/press/190614osk2025.pdf)を設置して、各種企業の挑戦を後押しする体制を構築しています。

 自治体や民間企業が保有する施設、スペース、データを利用することができ、これまで5Gの技術検証、次世代モビリティ、建物用の冷却フィルムなど、36件の支援実績があるといいうことです。

大企業だけでなく、中小企業やスタートアップにも門戸は開かれており、P Rや規制緩和への働きかけなどの協力も得られることから、概念検証だけでなく、社会実装を後押しする素晴らしい施策と感じました。

講演2)「両利きの経営」を支えるために、診断士ができること

小泉代表より、「両利きの経営」とその事例についてご紹介いただきました。

「両利きの経営」とは、オライリー教授とタッシュマン教授により提唱された経営理念であり、「知の探索」と「知の進化」の両利き経営が行えている企業ほど、イノベーションが起き、パフォーマンスが高くなる傾向があるというものです。

成功した主力事業を持つ企業はその成功体験に縛られることで(サクセストラップ)、業界の変革についていけず、経営が低迷することが多い。一方、Amazonのように、主力ビジネスを、「書店」→「オンラインのスーパー」→「オンライン・プラットフォーム」→「クラウドコンピューティング(AWS)」とイノベーションを連続して発生させる企業もあり、両者の違いは「両利きの経営」ができるかどうかであると主張されています。

 著者はこの経営をするためには、経営層のリーダーシップと戦略が必須だと主張されており、日本が得意とするボトムアップの改善だけでは、「知の探索」が不十分になることを痛感しました。

最後は、本日の講演でインプットされた情報をもとに、「中小企業の経営課題を両利きの経営でどのように解決するか?その際にA Iビジネス研究会として貢献できることは?」という演習にチャレンジです。今回は、製造・建設・情報通信・宿泊・飲食サービスの5チームに分かれて約40分間議論を行いました。

文責:大槻会員