【2021年1月定例会】 リテールAI特集(その1)

2021年1月16日(土)14:00~17:00にAIビジネス研究会1月定例会を開催しました。

2021年第一弾は、リテール(小売り)AI特集です。

講演1)コンビニの課題とAIによる解決の方向性

野地会員より、コンビニエンスストアに代表されるフランチャイズビジネスの実態と、大手を中心としたAIによる業務改善の現状について報告いただきました。

いまや多くの人にとってなくてはならない存在であるコンビニエンスストア。

その多くが大手のフランチャイズ形式の店舗です。フランチャイズ形式は個人経営に比べて起業しやすいですが、経営環境には多くの課題があります。

コンビニ店経営の改善ポイントは、①売れる商品、②原価率、③人件費、④廃棄率の4つだそうです。

人件費削減には「無人コンビニ」が思い浮かびます。日本ではJR高輪ゲートウェイ駅にありますね。

その他、商品の発注予測や店舗内の電力抑制にAIが使われている事例があるそうです。

商品陳列の遠隔操作を目的としたロボットの検証が進められており、ファミマやローソンで試験導入されているとのことです。「在宅コンビニアルバイト」も近い将来、可能になるかもしれません。

一方で、小規模小売店などは、コスト面のハードルが未だ高いという認識でした。

講演2)飲食業におけるデータとAI活用 ~価値創造のしくみとしてのマッチング

デ ジ タ ル 世 界 で は マ ッ チ ン ク の 革 命 が 起 こ っ て い る ! 
そ の 革 命 は Al が ト ラ イ フ し て い る 。 
マ ッ チ ン ク を 変 え る こ と で 、 
中 小 企 業 で も 大 き な 価 値 を 生 む こ と が で き る !

平鹿会員より、中小企業のAI導入事例として有名なゑびや(ゑびや (ise-ebiya.com))の再生ストーリーをわかりやすく紹介いただくとともに、あらたな価値創造のメカニズムについて講演いただきました。

8年ほど前(2012年)のゑびやは、観光地である伊勢市にある創業100年ほどの普通の老舗食堂でした(創業100年は普通ではありませんが)。

2012年に現社長の小田島氏が入社します。当時は「手切りの食券」を使い、そろばんが似合う飲食店でしたが、小田島氏がエクセルを使ったデータベース作成など、店舗運営を変えようとし始めました。当然、多くの反対があり、多くのスタッフの退職にも有ったそうです。

しかし、6年後には売上高が約5倍、営業利益が約10倍になるまで改善することに成功しました。

この改善のカギになったのが、AIであることは有名です。

当初より集めてきた「売上データ(日時・品目別)」「周辺画像(入店客・購買客・通行人の属性など)」「一般情報(周辺の人出や気候データなど)」を基に、来客予測や注文品予測を行う仕組みを構築し、人員配置の適正化による機会ロス低減、食材発注適正化・廃棄ロス削減を実現しました。

現在は、自社のノウハウを提供するサービスも行っているそうです。

平鹿会員からは、他の事例も含め、価値創造には一見無関係のような集合体を関連付ける「マッチング」があると説明いただきました。このマッチングはAIの出現により加速されているとのことでした。

つづいて、講演3として「人材調達を劇的に改善するAIマッチングソリューション」の紹介とグループディスカッションがありました。この内容は、別記事で紹介します。

文責:中嶋会員